埼玉県羽生市の身近な相続・遺言相談室

円滑な事業承継のために行った相続放棄がたいへんな結果になってしまった例

事例
父が急死し、母親はすでに死去しているため、相続人は自分たち二人の兄弟だけだと思って弟が相続放棄し、兄に事業を継承してもらおうと画策したところ、なんと父親には再婚歴があったことが判明。せっかく次男が兄のために相続放棄をしたにもかかわらず別の相続人(前妻の息子)がいることが判明し、相続はまさに争族となってしまったのです。
《状況》
相続人は兄と弟二人だけだと思っていたので、兄弟で話し合い、弟が相続放棄することで、兄が父親名義の株式から預貯金、不動産を全て相続するということで合意し、弟はさっさと相続放棄の手続きを家庭裁判所に申し出てしまいました。そして不動産の所有権移転をすべく兄の名で相続登記をするために、戸籍謄本など必要書類をそろえました。ところがその戸籍をそろえてみたところ、思わぬ事実が判明しました。なんと父親には前妻(死去)がいて、しかも一人息子がおったのです。急死だった父親がいつの日かこの事実を自分たちに話してくれたのかどうかはわかりませんし、亡くなった自分たちの母親もこのことを知っていたかどうかはわかりませんが、この兄弟には全く寝耳に水でした。
さあ、そうなると問題は父親の遺産のすべてを相続できると思っていた兄です。もちろん遺産ほしさではなく、父親の事業を円滑に継承するという意図があり、自分たちだけが相続人だと思っていたので、弟に相続放棄をしてもらったわけですが、事は簡単にはすみませんでした。案の定、この前妻の息子が二人の前に現れ、法定相続分を要求してきたのです。兄は事業継承の事情を説明し、相続税負担も一千万円近くになるため、話し合いによる遺産分割協議を提案しましたが、聞き入れてもらえませんでした。
家庭裁判所による調停もかなわず、結局要求通り、法定相続分を現金で支払うことで決着しましたが、兄は相続税とこの息子への相続分数百万円の負担でかなりの借金をし、弟は相続放棄をしてしまっているので、一円の相続もできませんでした。
このように相続が発生し、しかも父親などが急死の場合、遺言も残されておらない場合は相続人調査はもちろん、相続処理自体を専門家に依頼して、自分たちがどのような相続処理をしたいのか明確にして、事を進めていく必要があります。
例えば不動産の所有権移転を円滑に特定の相続人の名義にしたい場合は、他の相続人はわざわざ相続放棄をしなくても、「相続分が無いことの証明書」を作成して、移転登記を済ませることも可能です。
相続法務指導員 川島幸雄
埼玉県羽生市の
身近な相続・遺言相談室
相続法務指導員 川島幸雄
行政書士 宅地建物取引主任者
048-580-7391